ひさびさの書き込みは、今、六本木ヒルズの森美術館で開催されている、「china 中国★美の十字架」展のご紹介を。
中国の後漢時代後期から唐時代のいわゆる盛唐期にいたる、南北、東西の文化の交流というのがテーマになっている。
展示の内容は全部で5部構成になっており、
第一章 漢文化の伝統
第二章 南北の交流 躍進する北方遊牧民
第三章 東西の交流 シルクロードの繁栄
第四章 佛教美術の変遷
第五章 大唐世界帝国 東西、南北の融合
と歴史の変遷順に構成が組まれている。
今回の展示で展示品以外の部分についていうなら、展示の際の配色がとてもよく考えられていたところだろう。青銅器や銅、金銀などの細工物や、土ものに彩色した人形、石。それらの色は時代を経て、とても柔らかい色をしており、ビビットなものはほとんどない。
もし、展示スペースに強い色を持って来たら、それだけで展示品の魅力が損なわれてしまう。
しかし、今回の、臙脂(えんじ)に近い赤や、黄土色に近い黄色、紺に近い青、白ではなくオフホワイトを使った展示空間は、それを見事に克服して見せた。単調になることなく、展示品を引き立て、スタイリッシュな空間を演出している。とはいえ、スタイリッシュになりすぎるきらいもなく、うわべっつらな展示にはなっていない。展示されている品々それぞれが持つ、さまざまな魅力が引き出されている。
惜しむらくは、それが図録に反映されていないことだろうか。正直、画像の質も十分でないように感じた。
この展示は、森美術館の後、滋賀、福岡、宮城の順にめぐっていき、これから約一年の間国内のいずれかの場所で行われる。
ちなみに、森美術館でのみ同時開催の中国の現代美術展「FollowMe!」
作品の中にはいいものもあるし、興味惹かれるものもあったが、「china」の展示を抜けて、現れる「FollowMe!」の空間に対して抜かれる度肝は、決していい類のものではなかったことをココに付記しておく。
「china 中国★美の十字架」公式ホームページ↓
http://www.moriart.org/contents/china/